『名探偵カッレくん』
今日読んだ本
A.リンドグレーン 作 尾崎義 訳
カッレくんシリーズの第1巻。
親友のお薦めが2巻の「カッレくんの冒険」だったので先にそちらを読んで、先日この「名探偵カッレくん」と3巻で最終巻になる「名探偵カッレくんとスパイ団」を借りた。
やはりカッレくんは面白い。
大人たちの見守る姿勢、子供たちの遊び方。家庭環境の違う子供たちが親に規制される事なく集まって遊び、子供たちも家庭のルールを無視することはない。(夜中抜け出すのもカッレくんの探偵たる使命感からであって、友達と遊ぶためではない)何より仲が良いからこそできる『バラ戦争』には胸踊る。ちゃんと喧嘩するぞ!と十分間殴り合うなんて素敵だ。形式美もいい。弱いものいじめではなく、対等な、素手対素手のスポーツな喧嘩、というのも今の日本の児童文学では描かれないものだろう。友人が第2巻を最も薦めてくれた意味がわかったよう思う。
そしてカッレくんたちの不審人物に関しての直感的な感想がいい。大人になってしまった私の衰えた嗅覚よ。(かわりに経験値や知識は増えたけれど)
ピストルが何かにつけて出てくることや、車種について言及するあたり北欧だな、と思う。度々出てくる甘パンとクリームパンの違いがどうしてもわからない。食の歴史に詳しい友人に訪ねてみよう。いやはや、日本からみるとスウェーデンはかなりの異国だ。
実は同じ著作の「長くつしたのピッピ」をつい先日、読んだのだがピッピが好きになれなかった。行動が破綻しているし、ものを大事にしなさ過ぎる。喧しすぎる。自分を理解させるばかりで、自分が相手を理解する気が全くない。どうしてこちらがカッレくんシリーズより有名なのか、甚だ不満だ。
私は姪たちにカッレくんシリーズを近々贈る。支離滅裂の無法者ではなく、自由闊達なおてんばくらいの子供時代を過ごしてほしい、なんて勝手に思うが、彼女たちが自分たちらしく遊び育ってくれるのが一番なので、贈るだけで何かを言ったり、なにかを強要するつもりはない。おばの推薦図書なだけなのだから。
新たに読みたい本
訳者繋がりでP.コラム作の「北欧神話」こちらも岩波少年文庫だ。
私の初めて触れた北欧はリレハンメルオリンピックで、開会式の『フェアリーテイル』から興味を抱き、北欧の人ならざる妖精、精霊、小人たち、特に『ノーム』を愛している。北欧神話の『太陽の東 月の西』もピッピと同タイミングで図書館にて借り読んだが、訳者と言葉のテンポが合わず残念だった。それもあり、だいぶ期待している。
に、しても、カッレくんシリーズが中学生向けなのは解せない。小学校中学年くらいで充分読める内容だ。実際、親友もその頃始めて触れたらしい。だいいち中学生にもなれば、本屋に置いてある一般小説のどれでも、読んで楽しめる歳だろう。出版社は中学生の読解力を低く見積もりすぎていやしないか?それに15歳の子が僅かに歳下である13歳の子の探偵活動や遊びに、(友人の薦めなどロイター板的なものがない状態で)はじめて触れてワクワクできるものだろうか。
全く関係ないが、今日は台風が日本に上陸した。風の音が凄い。