乱読本立

ジャンルを問わない読んだ本の備忘録。5年後読み返して面白かったらいいなと思う。

『キング誕生』

今日読んだ本

『キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇』

著者 石田衣良  発行 文藝春秋

 

ずっと読んでいる池袋ウエストゲートパークシリーズの外伝的な書き下ろし文庫本。ドラマで知って、原作である当シリーズを読み石田衣良に嵌ったクチで、読み始めた頃は小説のキングとドラマのキングがあまりに違うのでオロオロしたのも遠い昔。

読者にマコトが語り掛ける文体がなんとも聴きやすい。(実際には読んでいるのだが)

17歳のマコトが見た17歳のタカシを既に少年ではないマコトが回想する。

トラブルシューターにいつの間にやらなってしまったマコトが、何一つトラブルを収束させられない話だ。だけれど、マコトとタカシの信頼関係、マコトがGボーイズにはいらない理由、マコトの母親がタカシを気に掛け、タカシもマコトの母親の前ではただのマコトの友達になってしまう、その理由が明かされる。

後味がいい話かと言われれば、あまりいい話ではない。けれど、シリーズの中にある、兄の仇を討つために少女がキングにナイフを向けた時、悠々避けられるようだろうに、抱きとめるようにその刃をうけるシーンに納得がいった。タカシはナイフを使わなかったが、兄の仇を討った事がある。

哀しみが深い作品だ。シリーズの発行順を追って読むことをお薦めしたい。

 

北海道の地震や台風の被害が心配だ。しかし、私にできる事はあまりに少ない。せめて自分が参らないように生活して、無駄な面倒をかけずにいようと思う。