乱読本立

ジャンルを問わない読んだ本の備忘録。5年後読み返して面白かったらいいなと思う。

『メトロポリス』

手塚治虫漫画全集 44 『メトロポリス

発行 講談社 1979年1月20日第1刷

 

先日アニメ映画『メトロポリス』を観て、原作を読んでみようと思って借りた。

ストーリーがわかりやすいようで、わかりにくい。映画を先に見た弊害かもしれない。

漫画のミッチイの吹っ切れ方はティマと同じくらい凄まじく、救いの無さも映画と同じくらい。

大きな違いとして、ミッチイが普通の生活を体験しているが、ティマはしていないし、ミッチイが『親に会いたい』と思っているのに対して、ティマは『自分は何か』という疑問をかかえつつ(但しミッチイも潜在的には抱えているのだが)『親はケンイチ』と断言してしまうこと。ティマは赤子のような無垢さがあるが、ミッチイは思春期のゆらぎのようなものの中にいる。また、レッド公のミッチイへの態度とティマへの態度の違いがある。ミッチイへの突き放しを映画ではロックが引き受けているのだろう。ヒゲオヤジの役回りもかなり違う。

筋とは関係ないが明らかにミッキーマウスをモチーフにしたキャラクターが出てきてギョッとした。

この漫画が名作かと言われたらちょっと首を捻る。個人的には映画の方がオススメだ。